以前から気になっていたテーラーであるSartoria Raffaniello(サルトリア ラファニエロ)さんに伺うことができたので、レビューを含め感じたことを書いていきます。
Sartoria Raffaniello さんについて
Sartoria Raffaniello(サルトリア ラファニエロ)はテーラーの東 徳行(ひがし のりゆき)さんが営まれているビスポークテーラー。
東さんはリングヂャケットなどで経験を積まれ、イタリアナポリでの修行を経て大阪にお店を構えられたそうです。
場所は大阪の船場ビルディング。こちら以外にも様々なテーラーや店舗などが軒を連ねており、どのお店もこだわりを感じます。
建物の雰囲気も相まって入ると少し気が引き締まるような空間だと感じました。
オーダーの流れ
アポイント
アポイントはメールで行いました。
オーダーしたい旨、作りたいスーツのイメージ、素材感などをお伝えし日程調整を行いました。
おいそがしい中でも返信もスピーディにしていただき、すぐに日程が決まりました。
オーダー当日
御堂筋線本町駅から、徒歩約10分で船場ビルディングに到着。土曜日のため入り口は閉じられており、電話で連絡をし開錠していただきます。
店舗は3F。扉を開けると東さんがにこやかに出迎えてくださいました。
店内には納品待ちのスーツ、そしてパンチブック、生地棚などが目に入ります。
奥には作業台があり、現在作成途中のスーツや生地などが並んでいました。
実際にここでスーツが縫われているんだなぁと実感でき、期待が膨らみます。
店内のテーブルに案内され、自身のことはもちろん、そして東さんのことについてもお話を伺いました。
スーツのオーダーといえば、さあ生地見本はこちらです!ボタンは!裏地は!という感じで進むイメージだったので、世間話のような話をしながら進めていく形に他店との違いを感じました。
私自身色々と伺いたいことがあり質問攻めのようになってしまったのですが、快くお話いただき、一気に緊張がほぐれたことを覚えています。
オーダーの種類
オーダーの種類はスミズーラ(Su Misura)とメイドトゥメジャー(MTM)の2種類になります。
スミズーラはいわゆるビスポークとなり、東さん自身がアトリエで採寸、型紙作成、裁断、縫製を行うもの
MTMはいわゆるパターンオーダー。サンプルゲージと呼ばれるスーツを着用し、体型補正を行うもの。採寸は東さんが、製作は国内工場で行うもの。
今回は予算的にも限りがあるためMTMでオーダーを行いました。
採寸
早速シャツ姿になり採寸。スピーディにかつ正確に測っていただきました。
今まで全く自覚がなかったのですが、私はバストに対してヒップが大きいそう。
ジャケットは42サイズでもパンツは44でウエストを詰めた方が良いとの事。
ジャケットは特に補正箇所はなさそう、とのことで安心。
今まではなで肩、巻き肩のため、補正しても限界ですと言われることもあったため、元々のパターンが良いのだろうと思います。期待が膨らみます。
生地選び
生地については事前に要望を伝えていたので、ある程度絞ってパンチブックから提案していただきました。
今回は春秋に着られるもの、かつ、オンオフ対応できるものが欲しかったため、コットン素材から選びました。
東さんから、春夏用であれば強撚糸(ハイツイストウール)もおすすめですよ、とご提案いただきましたが、確かにそちらの生地も素敵だなぁと思うものばかりでした。
最終的に決定したのはイタリアはナポリCaccioppoli(カチョッポリ)のグレーのコットンの生地
目付は360gほどのかなりしっかりした質感の生地を選びました。
私がしっかりとした生地が好みなこともあり、こちらの生地に決めましたが、東さんもこれでスリーピースを作ると面白いと思います。と快諾してくださいました。
ディテール
ディテールは基本的に東さんにお任せ。
やっぱり素人が色々希望を押し付けるよりも、プロにお任せする方がいいと思うので。
・カチッとしたスタイルで着用したい
・ベルトループなしのサイドアジャスター
・ベストは襟付きで
この辺りの好みは伝えましたが、バランス的なところは東さんに頼らせていただきました。
東さんとお話をする中で、キュプラ生地を生産する工場が火災で無くなってしまったそう。仕入れが難しいため裏地は今はポリエステルのものがメインになっているそう。
個人的にはキュプラの快適さは好きなので、残念ではあるが、ぜひ復活を期待したいなと思います。
お会計
金額はスリーピーススーツで約30万円弱。
カチョッポリの生地が結構高くなっているらしい。
決して安くはない買い物でしたが、今までのスーツのオーダーとは違う満足感がありました。(のちに家族会議が開かれたことは内緒)
それはもちろんスーツの質の良さもさることながら、東さんの人柄や雰囲気に惹かれたところも大きいと思います。
完成したスーツはこちら
約3ヶ月後、完成の連絡をいただき、(一度アトリエに行った際に袖丈のバランスが少し長かったため約一週間再調整ののち)受け取りました。
10回程度着用した後に撮影していますので、シワなどが入っています。ご了承ください。
ジャケット
肩パッドのない柔らかな雰囲気。段返り3つボタンです。
少し太めのラペル、低めのゴージラインが美しい
袖は4つボタンの重ね(本切羽。標準のオプション)
(コットンの縮みを考慮して、袖は少し長めに残していただきました。)
ラペルの裏にはヒゲがあります。丁寧な仕上げ。
ベスト
襟付きの5ボタン
尾錠はなし
スッキリとしたスタイル
トラウザーズ
アウトの2タック(MTMではアウトタックのみ対応とのこと。)
サイドアジャスター
3.5cm幅のダブル
裾幅は21cmとクラシックなスタイルで
フロント
バック
コットンのため、ジャケット以上にシワが入っています。スチームやアイロン掛けはしていますが、やっぱり完全には取りきれません。
でも、コットンならではのカジュアル感があるのであまり気にしていないというのが本音です。
全体を通して非常にクリーンで綺麗なスーツに仕上がっていると思います。
華やかですが、落ち着いている、そんなスーツだと思います。
コーディネート
購入してから10回程度着たあとに撮ったものです。
シワやアタリが出ている箇所があります。
全体像です。非常にスッキリとした、柔らかさを感じる雰囲気です。
後ろ姿。コットン素材なのでシワが目立ちますが、肩への収まりはよいです。
上半身をアップで。ネイビーのフレスコタイといい相性ですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回はSartoria Raffanielloさんでオーダーしたスーツをご紹介しました。
初めてでしたが、非常に格好良いスーツを作っていただけたと思っています。
これからどんどんと着込んで自分のものにしていけたらいいなと思います。
東さん、ありがとうございました。